土地不動産の有効活用の実務

 高度経済成長期に東京の中心商業地に端を発した先般の地価高騰は、大都市に住むサラリーマンの持家取得を絶望的にし、かつ「持てる者」と「持たざる者」の資産格差を埋め合わせられないほどに拡大し、また、公共事業の用地取得を困難にした。こうした状況のなか、土地対策が各方面で緊急の課題としてとりあげられるようになったのは周知のところです。
 さて一口に土地対策といってもどういったことをやればよいのでしょう。政府や各関係団体が好き勝手に政策を実施したのでは必ずしも国民の意志に洽ったものとは言えません。そこで土地対策を実施する前提として、国民の土地に対する共通認識を確立する必要が生まれました。平成元年12月に公布施行された土地基本法は、こうした考えに基づき今後の土地対策に関する方向性を明示した、言わば土地、不動産の憲法とでもいうべきものです。
 土地基本法は先にも述べたように、土地についての国民の共通認識の形成を目指して制定されたものですから、その中核をなすのは、土地、不動産についての公共の福祉優先、適正な利用および計画に従った利用、投機的取引の抑制、価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担という4つの土地、不動産についての基本理念であります。以下、順に概説しましょう。
不動産
 (1)土地についての公共の福祉優先
 わが国では憲法第29条第1項により、私有財産制が保証されています。しかし、土地は一般の財とは異なり、国民にとっての限られた資源であり、国民の諸活動にとって不可欠の基盤であります。こうした土地の公共性に鑑み、土地については公共の福祉が優先することとしました(土地基本法2)。
 (2)適正な利用および計画に従った利用
 我が国では土地の利用については所有者の自由に委ねるという考え方が一般的です。しかし土地は適正に利用されてこそ国民全体の利益の増進が図られるものであることから、適正な利用がなされているかどうか常に問うべき必要があることにしました。つまり所有から利用へという土地についての哲学の変更を訴えたわけです(土地基本法3)。
 (3)投機的取引の抑制
 土地の投機的取引は地価をつりあげ、土地の遊休化を促すなどさまざまな悪影響をおよぼすものであるため、土地を投機的取引の対象としてはならない旨を宣言しました(土地基本法4)。
 (4)価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担
 地価の増大は持てる者と持たざる者との不動産資産拡差を拡大させ、不公平感を招くといった問題を生じさせています。よって公平の確保に資するとともに、土地の資産としての有利性を減殺する観点から、利益に応じた適切な負担が確保されるべきことを基本理念として明示しました(土地基本法5)。
土地
 基本理念を踏まえたうえで、本法は、この基本理念を踏まえて、政府、地方公共団体、事業者、国民の責務を定めています。さらには、こうした理念の普及や施策の基本的事項等を審議する土地政策審議会の設置が規定されています(土地基本法19〜)。不動産
 また本法は土地に関する最も重要な指針であるため、さまざまな法律の改正にも影響を与えています。平成2年の大都市法、都市計画法、建築基準法の改正、平成3年の生産緑地法の改正および地価税の導入をはじめとする税制改正等、すべて土地基本法のかかげた基本理念を基礎としたものといえるでしょう。これらの点については以降を御参照ください。

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